第34回気象予報士試験 一般問1
問1:
大気の放射平衡について述べた次の文章の下線部(a)〜(d) の正誤の組み合わせとして正しいものを,下記の(1)〜(5)の中から一つ選べ。
大気の温度の鉛直分布は放射平衡のみで決まるという理想化をした計算を行うと,高度約10km以下では温度が高さとともに大きく減少し,下層では温度減率が特に大きくなる。
しかし,このような大きな温度減率の大気は不安定であるため,実際の大気では
(a)熱エネルギーを下向きに運ぶ対流が生じて,
(b) 相対的に低い高度の大気の温度が下がり,高い高度の大気の温度が上がることで約6.5℃/kmの温度減率になる。また,高度15km 以上でオゾンの濃度が高くなるため,
(c)オゾンが太陽紫外線を吸収して大気を加熱する効果を取り入れることで,高度約10km 以上では温度が高さとともに減少し続けることはなく,現実の成層圏に近い温度の鉛直分布となる。この結果,
(d)成層圏では安定度が高くなる。
(問題原文に色はついていません)
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(a) |
(b) |
(c) |
(d) |
(1) |
正 |
正 |
正 |
誤 |
(2) |
正 |
誤 |
誤 |
正 |
(3) |
誤 |
正 |
正 |
正 |
(4) |
誤 |
正 |
誤 |
誤 |
(5) |
誤 |
誤 |
正 |
誤 |
解説:
(a1)は
「誤」 熱エネルギーを
下向きに ⇒ 熱エネルギーを
上向きに
上層の温度が低く、下層の温度が高いときに、暖かくて比重が小さく軽い下層の空気が上昇することによって対流が発生する。
(b)は
「正」
対流の結果、下層の暖かい空気と、上層の冷たい空気が混合して、温度差が小さくなる。
(c)は
「正」
「一般気象学【第2版】」の24ページ参照
(d)は
「正」
「一般気象学【第2版】」の2ページ参照
したがって、正解は
選択肢(3)である。
(2013/06/16)
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