第34回気象予報士試験 一般問2
問2:
問2 空気塊を断熱的に持ち上げる過程について述べた次の文章の空欄(a)〜(d) に入る適切な語句の組み合わせを,下記の(1)〜(5)の中から一つ選べ。
夏期や梅雨期にみられる積乱雲が発達しやすい状態の大気を考える。この大気の下層にある空気塊を断熱的に持ち上げ続けると,持ち上げ凝結高度で水蒸気の凝結が始まり,それ以降,高度の増加に対する気温低下の割合が
(a)する。空気塊をさらに上昇させて自由対流高度を超えると空気塊は周囲の大気より
(b)なり,自力で上昇するようになる。空気塊はある高度で浮力を失いこの上昇は止む。この高度は
(c)高度にほぼ相当し,上昇中の空気塊が周囲の大気と混合する場合には混合しない場合よりも
(d)なる。
(問題原文に色はついていません)
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(a) |
(b) |
(c) |
(d) |
(1) |
増加 |
冷たく |
雲底 |
低く |
(2) |
増加 |
暖かく |
雲頂 |
高く |
(3) |
減少 |
冷たく |
雲頂 |
高く |
(4) |
減少 |
暖かく |
雲頂 |
低く |
(5) |
減少 |
暖かく |
雲底 |
高く |
解説:
(a)は
「減少」
乾燥断熱減率から湿潤断熱減率に変わる。
エマグラム上では、傾きが立つので、変化が少ないことになる。
上図で、スタートの点Aから持ち上げ凝結高度(LCL)までは、青い線の傾きだが、LCLから上はオレンジ色の線の傾きに変わる。オレンジ色の線が青い線よりも傾きが立っているので、高度の増加に対する気温低下の割合が
減少することが分かる
「一般気象学【第2版】」の69ページ参照
(b)は
「暖かく」
上昇気流の勢いが強く、LFCより高くなると、周囲よりも気温が高く軽いので勝手に上昇する。
「一般気象学【第2版】」の72ページ参照
(c)は
「雲頂」
上の図を見ながら、問題文の内容が物語として理解できるようにしておきたい。
(d)は
「低く」
上昇している空気塊が周囲の冷たい空気と混合すると、気温が低下して上昇の勢いが弱まるので、雲頂高度は低くなる。
正解は選択肢(4)である。
(2013/06/16)
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