第38再気象予報士試験 一般問8


問8:
大気や海洋における熱の輸送について述べた次の文 (a) 〜 (d) の正誤の組み合わせとして正しいものを,下記の(1)〜(5)の中から一つ選べ。

(a) 水は地表面で蒸発し上空へ運ばれて凝結し,雨や雪となって地上に降り注ぐ。この過程は,熱を上向きに運んでいる。
(b) 南極大陸から流れ出た氷山は海洋上を低緯度へ移動しながら融けて行く。この過程は,熱を低緯度側へ運んでいる。
(c) ハドレー循環は,熱を赤道域から高緯度側に輸送している。
(d) 発達中の温帯低気圧に伴う大気の水平循環は,熱を極向きに運んでいる。


(a) (b) (c) (d)
   (1)  正  正  正  誤
   (2)  正  誤  正  正
   (3)  正  誤  誤  正
   (4)  誤  正  正  正
   (5)  誤  正  誤  正

解説:
(a)については、こんな図で理解すると分かりやすいだろう。
     
地表面や海面から水蒸気が蒸発するときには、蒸発熱を奪う。
上空で凝結するときに凝結熱を放出し、やがてそのまま雨や雪になって降りてくる。
地上(海上)で熱吸収して、上空で放出するのだから、熱を上空にに運んでいることになる。
だから「正」である。
(b) 南極で氷を作るときに、凍結熱を放出する。低緯度に移動して氷が溶ける時には融解熱を吸収する。

(a)では、蒸発熱と凝結熱の関係で熱収支をみたが、この設問では凍結熱と融解熱に着目する。潜熱の出入りに関する似たような問題である。
低緯度で熱を吸収して、南極で熱を放出するのだからから、熱収支としては、南極に熱を運んでいることになる。だから(b)は「誤」である。
(c) ハドレー循環を下図で確認しよう。

設問(a)で、水蒸気が上昇するときに熱を上空に運ぶ働きがあることを確認した。
ハドレー循環は、赤道付近で水蒸気を上空に持ち上げて、高緯度側に移動して熱を運んでいるのだから「正」
ここまでで、選択肢(2)に決定してしまったので、(d)は「正」でなければならない。
(c)が分からないと答えられないが、(b)が分かればよい。(b)が分からなくても(a)(d)が分かれば答えは決まる。

(a) (b) (c) (d)
   (1)  正  正  正  誤
   (2)  正  誤  正  正
   (3)  正  誤  誤  正
   (4)  誤  正  正  正
   (5)  誤  正  誤  正
(d) 温帯低気圧の東側では温暖前線で暖気が北向きに上昇し、西側では寒気が南向きに下降する。
熱が北上し、寒気が南下するのだから、熱を北に運んでいるのは明らかだろう。だから「正」
正解は、選択肢(2)「正誤正正」である。
  (2013/06/12)

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