第39回気象予報士試験 一般問3
問3:
次の文章の正誤を答えよ。
(問題原文とは質問形式と単位表現が若干違います)
(a) ある空気塊を断熱的に膨張させると、気圧が低くなるにつれてその気圧における露点温度も低くなる。
(b) 同じ気圧にある2つの空気塊を比べると、湿球温位の高い方が相当温位も高い。
(c) ある空気塊の混合比の値(g/kg)は、その空気塊の比湿の値(g/kg)よりも小さい。
解説:
(a)はこんな風に、エマグラムの用紙があれば簡単に解明できる。
1000hPaから、順番に上に上がっていくイメージで捉える。
1000hPaで気温27℃、露点温度12.0℃の空気を断熱的に持ち上げると
950hPa では、気温22.5℃、露点温度11.5℃と両者とも低下する。さらに持ち上げると
900hPa では、気温17.5℃、露点温度10.5℃と両者とも低下する。さらに持ち上げると
850hPa では、気温13.0℃、露点温度9.7℃と両者とも低下する。さらに持ち上げると
810hPa で、気温・露点温度ともに9.0℃となり飽和に達する。
図で見て明らかなように、気圧低下とともに、露点温度も低下するので、
(a)は「正」である。
(b)については、湿球温位と相当温位の関係を示した図を確認しよう。
湿球温位から、湿潤断熱線に沿って持ち上げると、やがて乾燥断熱線に重なる。その温位が相当温位なので、湿球温位が高ければ相当温位が高くなるのは自明である。
だから
(b)は「正」である。
(c)は、混合比と比湿の定義を知っていれば、悩む必要もない簡単な問題だ。
混合比とは、〔
水蒸気/
乾燥空気〕の質量比。
比湿とは、〔
水蒸気/(
乾燥空気+
水蒸気)〕の質量比。
案外、言葉の定義って忘れてしまうんだよね。
「金剛に水なし、比湿に湿あり」って覚えるといいよ。
♪⌒ヽ(*゚O゚)ノ スゴイッ!!!
つまり
「混合比の分母には水がないけれど、比湿の分母には湿気に関連する水蒸気がある」という意味だ、文字を見ただけで思い出せるから、絶対に間違えることはない。
ともかく、混合比は比湿よりも分母が小さいのだから、混合比
が比湿より小さくなるはずがない。水蒸気がゼロの場合でも同じであり、小さくはない。だから
(c)は「誤」である。
省略したが、問題文の選択肢から選べば、
正解は(2)「正正誤」である。
(2013/06/12)
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