第35回気象予報士試験 実技2問1
第35回 気象予報士試験 実技2 問1
丸囲み数字は機種によって文字化けするので、代わりに<1><2>の表示を使います。
問1(1)
問1(1)<1>は、低気圧の数字を読むだけ、
「980」
問1(1)<2>は、FOG[W}の意味、すなわち
「海上濃霧」警報。
警報は問題文に書いてあるので、「海上濃霧
警報」と余計なことを書いてはいけない。
問1(1)<3>輪島の雲記号を探しても見つからなかった人もいるかもしれない。結構離れた上部に記載されている。緑でマークした熊手のような格好の記号は、
「巻雲」である。ここでは
「上昇雲」でも正解としている。上層雲に似た用語で「高層雲」があるが、これではダメだ。「高層雲」は中層雲
(高層雲、高積雲、乱層雲)の一つとして、「∠」の記号が決められており、上層雲とは違う。
国際天気図の雲の記号の説明は、
Wikipedia に詳しく記載されている。
問1(1)<4> は天気の表記だが、国際天気図では降水や霧がなければ記号としては何も表記しない。
晴れや曇りは 雲の量で判断する。
気象庁サイト庁によれば、晴れや曇りの判断基準は次のようになっている。
快晴 雲量が1以下の状態。
晴れ 雲量が2以上8以下の状態
薄曇り 雲量が9以上であって、上層の雲が中・下層の雲より多く、降水現象がない状態。
曇り 雲量が9以上であって、中・下層の雲が上層の雲より多く、降水現象がない状態。 |
輪島の雲量は9だが高層雲だけであるから
「薄曇り」となる。単なる
「曇り」で点数が付くかどうかは分からない。
問1(1)<5>東京の雲形は、丸5のグリーンマークで示したが、このマークは、積雲と積層雲の印なので、答えは
「積雲」である。
問1(2)<1>
図2の衛星画像と300hPaの天気図を重ねてみると、次のようになる。
この図を見て、領域Aの雲域の北端に沿った線と言えば、黄色でなぞった
「9240」mの線になるのは明らかだろう。
問1(2)<2>
図2の衛星画像と850hPaの天気図を重ね合わせてみると、領域Aの南縁付近には、気温を示す点線がたくさん通っている。点線がたくさん通っているのは、気温差が大きいことを意味しており、問題文の表現に合わせれば
「気温」傾度が大きいことになる。
問1(2)<3>
下の写真で示した、ギザギザのある特徴的な雲のラインは「トランスバース・ライン」である。
しばしば、航空機を対象にした晴天乱気流と組み合わせた問題にされる。
問1(2)<4>
300hPaのジェット気流の最大風速の問題なので、私は風速記号を探した。最大風速は黄色の輪で記した155ノットだった。私は自信を持って「155」ノットの解答した。
ところが、模範解答では
「160」ノットとなっている。
そんな馬鹿な、と思って考察を加えたら、グリーンの輪で示した160の数字が、実は風速を表していたのだった。これは、よほど注意してかからないと引っかかる。 皆さん、
要注意ですぞ。
問1(2)<5>
160ノットを155ノットに読み違えてミスをしたが、ジェット気流の軸はずれていないので、きちんと答えられた。155ノットの旗がある辺りが、東経140度、北緯
「40」度付近である。
問1(3)<1>
まず、850hPaと500hPa no秋田の気温を読み取らなければならない。
上の図の左半分が850hPaで、右が500hPaの天気図だ。
850hPaでは-9.5℃で、500hPaでは-21.9℃である。
ここで注意しなければならないのは、数字の位置は青森県の八戸あたりに書かれているが、基準点は風速旗印の付け根、つまり赤丸でしましたところである。
位置関係を誤って、輪島の数字を秋田と思いこんだ人がいるかもしれないので、注意しよう。
やっと、解答作業にかかる準備が出来た。
850hPaの平年値が1.1℃なら、-9.5℃は、1.1-(-9.5)=
「10.6」℃低いことになる。
問1(3)<2>
500hPaの高度が5500m、850hPaの高度が1500mなら、その差は5500-1500=4000m、キロメートルに換算すると4kmである。
二点間の温度差は、-9.5-(-21.9)=12.4℃だから、気温減率は12.4℃÷4km=
「3.1」℃/kmである。
問1(3)<3>
通常の大気の気温減率が6.5℃/kmなのに対して、秋田の3.1℃は状態曲線がこれよりも立っていることになるので、
「安定」であると言える。
状態曲線が乾燥断熱線(目安10℃/km)より寝ていれば絶対不安定で、湿潤断熱線(目安4.5℃/km)より立っていれば、絶対安定である。これらの条件と比較しても3.1℃/kmは安定である。
問1(4)現象:
これは困った。 分からない。
放射冷却で冷えるであろうことは想像できたので、ひとつは「放射冷却」としたが、もう一つが浮かばない。仕方なく適当に「霜」と書いた。
模範解答を見たら、放射冷却は発生要因であって、現象ではないらしい。
結局、
「霜」「凍結」「低温」から2つ書けばよいと言うことだが、「放射冷却」が頭らはなれず、まともな解答ができなかった。 放射冷却を想定しているのだから、当然気温が低下して「低温」なのだが、「低温」が、「注意すべき現象」とは認識できなかった。
問1(4)発生原因:
恥ずかしながら、何も書けなかった。頭の中では「放射冷却」の発生要因を書こうとするのだが、黒体放射温度はえぇと何だっけ、みたいにグルグルまわってこの欄は白紙。
模範解答がとても分かりやすい解説そのものなので、よく読んでください。
「下層に強い寒気が入っており,さらに晴天で放射冷却が大きく,風が弱いため,地表付近の気温が 0℃前後にまで下がるから。」
模範解答は次の通り。
問 1
(1)〔5 点〕
<1> 980
<2> 海上濃霧
<3> 巻 ( 上層 ) 雲
<4> 薄曇 ( り )
<5> 積雲
(2)〔5 点〕
<1> 9240
<2> 気温 ( 温度 )
<3> トランスバースライン
<4> 160
<5> 40
(3)〔3 点〕
<1> 10.6
<2> 3.1
<3> 安定
(4)〔12 点〕
現象:霜,凍結,低温 ( この中から2つ )
発生要因:下層に強い寒気が入っており,さらに晴天で放射冷却が大きく,風が弱いため,地表付近の気温が 0℃前後にまで下がるから。(57 字 )
(2013/07/01)
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