第38再気象予報士試験 実技1問2
第38回再試験 気象予報士試験 実技1 問2
【解答】
茶色の文字は北上大の私的解答
青字は気象業務支援センターの解答例
問2(1)
9℃
問2(2) 500hPa:北緯
38° 850hPa:北緯
35°
問2(3)
13m/km
問2(4) @
対流雲
A
赤外で明るく団塊状で可視で雲頂に凹凸がある。
可視、赤外画像ともに白く、団塊状である。
【感想など】
問2(1) 図2(上)に若干の加工を加えて説明する。
850hPaの天気図で、前線帯は水色の線で示した辺りにある。
東経140度と150度で水色の線をはさんで温度差を見ると、6℃の等温線と15℃の等温線がちょうど、罫線の上に来ることが分かる。
だから、温度差は9℃となる。
問2(2) まず、前線面の気温の特徴を確認しておこう。
寒気と暖気が向き合っているところが前線面である。
通常は、鉛直な面で向き合うことは無く、寒気の上にかぶさるように暖気が斜めに重なることが多い。
どの高さで見ても、暖気から寒気側に入ったと途端に急激に温度が低下するので、前線面の目安としては、等温線が込み始めるところの暖気側の端と見てよい。
そのような観点で、図2の上下を見ると、次の図に示したように等温線の込み具合から、500hPaでは東経140度線の北緯38度辺り、850hPaでは北緯35度付近で急激に気温が低下していることが分かる。
問2(3) 単純な計算問題だが、高度差(メートル)と平面の距離(km)を決めなければならない。
高度差は、天気図に示したグリーンの等高度線から読み取る。
500hPaの北緯38度付近の等高度線は、5700mである。
850hPaの北緯35度付近の等高度線は、1420mである。
高度差は 5700m-1440m=4260m となる。
水平距離は、北緯38度と35度の差、緯度で3度の距離を求めればよい。
緯度10度間の距離は、1110kmなので、3度なら 333kmとなる。
ここまで出来れば、単純に割り算で、4260/333=13 (m/km)となる。
もし、10緯度間の距離が1110kmが思い出せずに、600海里だと分かれば、
「
海里は一箱に」で覚えた、1海里=1.852km から、1110kmはすぐに出てくるはずだ。
(有効数字は3桁で十分だから、1.85×600=1110は筆算でも計算できるだろう)
問2(4)
@ 図3の衛星写真を見せられて「層状雲」か「対流雲」かと問われたら、「対流雲」に決まっているだろう。
もしも「層状雲」なら
層状の言葉通り、全体に薄ぼんやりして滑らかな画像になる。
この画像で「層状雲」かも知れないと悩むようなら、基本からやり直した方がよい。
A では、その根拠を書けと言うことになるのだが、特徴を整理してみると次のようなことだ
・可視画像で明るい(白いとも言う)
・可視画像でごつごつしている(団塊状という表現を好んで使う)
・上の特徴から、雲頂に凹凸があることが、対流雲の特徴
・赤外画像で明るい(白いとも言う)
・上の特徴から、輝度温度が低く、雲頂高度が高いと判断できる
・形状がブロック状である(しばしば団塊状という)
ここで設問をきちんと読み返してみると
「
可視および赤外画像で見られる
輝度および形状の特徴」
と問いかけているので、回答は
「
可視および赤外画像で輝度はxxxxであり、
形状はxxxxである」
と20字にまとめるのが理想的なのだろう。
「可視および赤外画像で明るく、団塊状である」(ちょうど20字)
センターの解答例と若干違うが、こんな表現でも点数が貰えると思う。
私の回答
「赤外で明るく団塊状で可視で雲頂に凹凸がある。」でも悪くは無いと思うが、赤外と可視の役割を分けてしまったようなので、その点がどうだろうか。
(2013/05/02)
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