第38再気象予報士試験 実技2問2
第38回再試験 気象予報士試験 実技2 問2
【解答】
茶色の文字は応援団長の私的解答
青字は気象業務支援センターの解答例
問2(1)
|
予想中心気圧 |
中心気圧の
前12時間変化量 |
12時間後(4日21時) |
992hPa |
-12hPa |
24時間後(5日9時) |
972hPa |
-20hPa |
問2(2)
12時間後には低気圧前面の温度傾度、上昇気流、南よりの風が強まり、暖気移流が顕著になる。(44字)
12時間後以降の方が、低気圧前面の暖気移流と上昇流および後面の寒気移流と寒気移流が強い。(44字)
問2(3)@
高波に警戒が必要な場所:
北側
根拠
低気圧の北側では、圧力低下による海面吸上に加えて、東よりの風による吹寄効果で潮位が高まる。(45字)
暴風が北側では海から陸に向かって吹き、陸から海に向かって吹く南側より波高が高くなるため。(43字)
問2(3)A
現象:
土砂災害 高潮
長時間降水の後、低気圧接近により更に雨が強まるので、地盤が緩み土砂災害の危険が高まる。(43字)
気圧の低下による吸い上げ効果と、暴風による吹き寄せ効果が予想されるため。(36字)
【感想など】
問1(1) 単純に天気図の等圧線を読むだけなので、勘違いや目盛の読み違いがなければ簡単だ。
地上天気図の等圧線間隔は、4hPaである。
左が12時間後で
「992」、右が24時間後
「972」である。
前12時間の変化量は、それぞれの時間値との差を求めればよい。
12時間後は、992(12時間後)-1004(初期値)=
-12
24時間後は、972(24時間後)-992(12時間後)=
-20
プラス、マイナスの符号を間違えないように注意しましょう。
問2(2)
温帯低気圧の発達ときたら、ポイントは絞られている。
a)気圧が低下している
b)500hPaトラフが西側にある、低気圧軸が西に傾いている
c)前面の上昇流、強い南よりの風と等温線の交差、暖気移流
d)後面の下降流、強い北よりの風と等温線の交差、寒気移流
だいたい、この4点に着目すればよい。
ヽ(*^^*)ノ
問題文では、「図2(下)と図4、つまり850hPaの天気図を用いて下層の場の特徴」と限定しているので、a)とb)は最初から関係ないことにする。
すると、前面の上昇流と暖気移流および後面の下降流と寒気移流の根拠を探す作業になる。
頭の中で作業に使った図がこれだ。図4上下の比較になるが、ここでは図4(下)だけを示す。
前面に着目すると、
・上昇流域が前面に大きく広がっており、極大値が-174hPa/hときわめて強い。
・等温線と交差する南風が100KTを超えて、きわめて強い。結果的に暖気移流が強い。
これに対して、後ろ面では、
・下降流域が狭く、極大値は+37hPa/hとそれほど大きくない。
・北よりの風は、等温線と交差しているが、風速40KTで、前面ほど強くない。
この判断で、わたしは後面の寒気移流はそれほどでもないので、前面の暖気移流だけに集中して解答文を書いた。
どうやら、この判断は大間違いだったようで、模範解答を見ると、後面の寒気移流も強いと判断しなければならなかったようだ。そう指摘されてから、図4上下を見比べてみると、後面の下降流は強まっていることが分かる。
条件判断が難しいなぁ。
( ̄ρ ̄)ハゥゥゥ
問2(3)@
この問題は、実は簡単だ。
(⌒〜⌒)ニンマリ
別の例だが、台風が伊勢湾にいるときに、遠州灘と熊野灘ではどちらが高波の危険があるか。
この問題の解説図で示すように、台風が作り出す反時計回りの風が、海から陸に向かって吹くとき
(遠州灘)には波の吹き寄せ効果が作用して、潮位が上がり波が高くなる。
この条件を当てはめれば、東北の太平洋側で低気圧の吹き寄せ効果が現れるのは、低気圧の
「北側」であることは明白だ。ここで間違うヤツはいないだろう。
問題文では「海岸での高波に対する警戒」の根拠を求めている。
ここでは、海方向からの風による吹き寄せ効果だけを書けば良かったのだ。しかし、わたしは、吸い上げ効果も含めて、潮位上昇まで答えてしまった。
おそらく、この問題に関しては相応の点数が貰えるだろう。
しかし、最悪の影響は次の問題を失うことだった。
( ̄■ ̄;)!?
問2(3)A
「大雨、暴風、高波以外に警戒すべき現象」を問われて、わたしには、何も頭に浮ばなかった。
正解を見てから分かったことだが、潮位が高まる「高潮」を警戒しろということらしいが、前問で潮位の上昇まで書いてしまったので、別の災害と言われても何も思いつかなかった。
何も書かないわけにいかないので、仕方なく、長雨による「土砂崩れ」を書いたが、所詮悪あがきだ。
正解は
「高潮」だった。
答えを見て、わたしは唖然とした。「高潮」って、前問の@で解答したことだろう。吸い上げ効果と吹き寄せ効果が重なって潮位が上がると書いていたのだから、いまさらここで書くはずがない。
よくよく考えると、高波と高潮は違う現象らしい。
@で先走りして、問われていないことまで書いてしまって、自ら解答の幅を狭めてしまっていたのだ。
う〜ん、こんなに内容を理解している問題で、点数を失うのは悲しい。
o(;△;)o エーン
(2013/05/06)
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