条件付不安定とは


次の図は、湿潤大気での風船の上昇を説明したときに使用した図だ。

湿潤大気における風船は、湿潤断熱線に沿って気温が下がり、大気温よりも温度が高ければ浮力を生じて、風船は上昇するし、風船の温度が大気温より低くなるようなら、上昇を止めてその高さで漂う。
上の図の解釈では、大気が飽和している状態なら、700hPa辺りまで風船が上昇する。つまり、700hPa付近まで大気の状態は不安定である。

では、同じ温度分布の大気で、乾燥していたらどうなるだろうか。
それを示したのが下の図である。

上とまったく同じ大気温度(状態曲線)なのだが、乾燥空気を対象とするので、風船の気温減率は乾燥断熱線に沿っている。
すると、風船は900hPaまで上昇するが、それより上層には行けないことになり、この大気は、900hPaまで不安定だが、900hPaより上層は安定であることになる。

そうすると、乾燥状態の大気(不飽和)では安定だが、湿潤状態の大気(飽和)では不安定になる層があることになる。
同じ状態曲線に、乾燥断熱線と湿潤断熱線の傾きを重ねてみた。
茶色が乾燥断熱線で、グリーンが湿潤断熱線の傾きである。

1000hPa〜900hPaでは、グリーンのラインよりも茶色のラインよりもも、状態曲線が寝ているので、飽和していても不飽和でも大気は不安定である。これを『絶対不安定』という。
900hPa〜800hjPaおよび800hPa〜700hPa の領域は、グリーンのラインよりは寝ているが、茶色のラインよりは立っている。つまり、乾燥している大気(不飽和)では安定だが、湿潤な大気(飽和)では、不安定である。このように、大気の湿潤状態で安定か不安定か分かれる状態を『条件付不安定』という。
700hPa〜600hPa では、湿潤断熱線よりも立っているので、飽和、不飽和に関わらず大気は安定である。これを『絶対安定』という。

「条件付不安定」とは、
  ・未飽和の大気なら安定
  ・飽和している湿潤大気なら不安定
である。
(2013/03/10)

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