混合空気を持ち上げる


混合空気とは、空気の中に水蒸気を含んでいるが、飽和していない(相対湿度が100%未満)空気のことである。
乾燥空気を断熱的に持ち上げると「乾燥断熱線」に沿って気温が下がることを前々項で説明した。
湿潤空気を断熱的に持ち上げると「湿潤断熱線」に沿って気温が下がることを前項で説明した。
では、その中間にあたる混合空気を持ち上げたらどういう挙動を示すのだろうか。

理屈は簡単だ。次の3段階の順で気温が低下していくのだ。
1) 飽和に達して凝結するまでは、乾燥断熱線に沿って気温が下がってゆく。
2) 気温低下とともに、徐々に相対湿度が上昇して、やがて飽和に達する。
3) 飽和に達した後は、湿潤断熱線に沿って気温が低下する。
この様子を図示すると、こうなる。

赤い丸の点から、スタートして「乾燥断熱線」に沿って上昇する。青い丸の点で飽和して、その後は「湿潤断熱線」に沿って上昇する。

では、どこで飽和するのだろうか。
気象観測のエマグラムでは、湿度条件として「露点」(または「湿数」)が与えられる。
この様子を、追いかけてみよう。

初期条件として、1000hPaで気温27℃、露点温度12℃の空気が与えられたとしよう。
1000hPaでは、飽和混合比は23.5g/kgで露点の混合比は9g/kgなので、相対湿度は9/23.5=38%である。
持ち上げて、
 ・950hPaでは、気温が22.5℃に低下して、飽和混合比は18.5g/kgに低下したので、相対湿度は49%に上がった。気温は乾燥断熱線に沿って低下するが、露点温度は「等飽和混合比線」に沿って低下する。
 ・900hPa まで持ち上げると、湿度は62%になった。
 ・850hPaでは、相対湿度80%まで上昇し、だいぶ湿ってきた。
 ・810hPaでは、気温が9℃で結露したので、露点も9℃(湿数ゼロ)になり、とうとう飽和に達したのである。
ここまでの挙動は、「乾燥断熱線」に沿って気温が低下してきたが、飽和してびしょびしょの空気になったので、これより上は、「湿潤断熱線」に沿った挙動に変わる。
(2013/03/07)

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