まっすぐ上に上げたら


エマグラムのグラフ用紙で、まっすぐ上に上げるとは、どういう意味を持つのだろうか。
図示すると、こうなる。

まったく張力を持たない、シャボン玉のような超薄皮の風船の中に、地上の空気を詰める。
地上の気温を30℃としよう。
この風船を、このまま持ち上げると、上空に昇るにしたがって気温が下がってしまうので、ここでは、30℃を保持する保温ボックスに入れることにする。この保温ボックスには、強力な温調装置がついていて、常に30℃に維持することが出来る。ただし、ボックスは密閉ではなく外圧と連通しているので、気圧は変化する。
地表を離れて上昇すると、外部の気温が下がるが、ここでは強力な温調機でボックスの内部を加熱しているので、温度は一定である。 過熱している分だけ、温位は上がってゆく。図示していないが、上昇する過程で何本もの「乾燥断熱線」をまたいでいる。「乾燥断熱線」「等温位線」でもあるので、それを何本も下から上に超えていくということは、温位が上昇していることを示している。

さて、この箱に入った風船を700hPa(地上3000m)まで持ち上げたら、膨らんできた。当然、温度は保持されているので30℃のままだ。自然界なら上空に持ち上げると勝手に冷えてしまうから、自然界では見られない現象であることをよく理解しておこう。
さて、500hPa(地上5500m)まで持ち上げると、2倍に膨らんだ。

これは、気体の状態方程式で説明できる。
pv=nRT というヤツだ。
風船の中の空気塊の量は変わらないし、温度も一定なので、nRTは一定で、pv=const、つまり圧力と体積は反比例すると言う意味になる。だから、圧力が1000hPaから500hPaへと半分に減圧すれば、体積は2倍になる。
この様子は、試験問題にしばしば出てくる「断熱的に持ち上げる」には当たらないので注意が必要だ。
(2013/03/07)

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