第35回気象予報士試験 実技1問3


第35回 気象予報士試験 実技1 問3
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問3(1)
時間帯:
温暖前線の通過の特徴は、風向が変化する〔南東寄り⇒南西より〕、気温が上昇する。
下の図で、黄色の矢印方向に進んだとイメージすれば分かりやすい。

寒域から暖域に入るので気温が上がり、風向は青い南東方向から赤い南西方向に変わる。
このような変化を、図10上で探すと、ここだ。

赤線で示した風が南東方向から南西方向に変わり、黄色の矢印で示したように気温が急上昇している。
時間帯を読み取ると、「23日3時〜23日9時」の間である。  
根拠:
上で説明した内容を30字で書けばよい。
北上大の答えはこうだ、気温上昇を具体的に示した方が良いかと判断した。
「風向きが南東から南西寄りに変化し、気温が3℃ほど上昇した。」(29字)
模範解答は
「風向が東〜南東から南〜南西に変化し,気温が上昇するため。」(28字)
模範解答では、風向きにしばしば「〜」を使うが、わたしはどうも馴染めない。でも、そんなことは言っていられないのだから、積極的に使うことを心がけよう。
また、この問題は、ガイダンスによる予想図の解釈なので、「上昇した」と言う過去形はまずいようだ。予想なのだから、「上昇する」または「上昇するため」とするべきだ。

問3(2)
寒冷前線の通過の一般的な特徴は、風向が変化する〔南西寄り⇒北西より〕、気温が低下し、湿度が低下して乾燥する。
下の図で、緑色の矢印方向に進んだとイメージすれば分かりやすい。

暖域から寒域に移るので気温が低下し、風向が南西よりから北西よりに変化し、一般に湿度が下がる。 上記のような観点で図を見ると、寒冷前線通過は、下図のグリーンでマークした辺りであることが分かる。

鉛直流:
鉛直流は、負の値(上昇流)から正の値(下降流)に変わっている。
これを、15字で書けばよいのだから、深く考えずにこう書いた。他に書きようがない。
「上昇流から下降流に変化した。」(14字)
模範解答は「上昇流から下降流に変化する。」(14字)
まったくの同一文と言いたいところだが、
上記の問3(1)と同様に「変化した」と言う過去形はまずい。この段階では予想なのだから。
相対湿度:
相対湿度が低下しただけのことだから、これも簡単だ。
「ほぼ飽和から急激に低下した。」(14字)
模範解答は「急速に低下して乾燥する。」(12字)
「乾燥する」は必要なキーワードなのだろうか?相対湿度が低下すれば乾燥するのだから、北上大の「ほぼ飽和から」の方が役立つワードのような気がするなぁ。
またここでも、予想図に対して、過去形で書いているので、減点されるかもしれない。

問3(3)
<1>
30mm3時間降水量が予想されているのは、下図の緑丸の部分である。

この時間帯は、23日3時〜24日9時である。
この時間帯を図10で見ると、問3(2)で示したように、温暖前線が通過してから寒冷前線が通過するまでの間であることが分かる。
すなわち、低気圧の暖域である。

<2>
 予想降水量が減少しているのは上の図でピンクのマークを下部分だ。初期時刻から計算すると18時間〜21時間に相当する。
「降水量の減少に対応する850hPaの相当温位の変化について」書けと言うことだが、直感的に「一時的に相当温位が低下した」と思いつく。
「相当温位が高い」 ⇒ 決め付けた言い方になるが「水蒸気量が多い」ことを指す。
「降水量が減少する要素」 ⇒ 「水蒸気量が減少すること」 ⇒ 「相当温位が低下する」
と考えたわけだ。
指定された図8から高知の相当温位を読み取ると、
12時間後は337Kくらい、
24時間後は332Kくらいに低下、
36時間後は337Kに戻って降水量のピークに達する。
その後、降水が止まって、48時間後には315Kまで低下する。
この経過から、問題の18時間後〜21時間後に一時的に相当温位が低下したであろうと推測できる。
12時間後と24時間後の850hPa 相当温位に着色してみた。

一時的に低下とは、素人くさい表現なので、ちょっと変えて、前後よりも低いと書いてみた。
「前後の時間帯よりも相当温位が低下した。」(19字)
これはキメたと思ったのだが、模範解答では「一時的」にを使っていたのだ。がっくり。
ここでも過去形を使っているのがダメだ。
「高知付近では相当温位が一時的に低下する。」(20字)
高知のことを質問しているのだから、「高知付近では」の6文字は要らないと思うのだが、模範解答は正しいのだ。

<3>
24日の3時〜9時を図10で見ると(2つ上の図)、問3(2)で求めた寒冷前線通過の時間帯と一致する。
ここは、素直に「寒冷前線」で良いのだろうと思ったら正解だった。

(4)
これはよく出る問題で、山地を超えた風は下降流になるから、上昇流に伴う降水が少ないことを書けばよいと思ったのだが、正解を見たらそれだけでは足りなかった。
山地を超えるときに雨を降らすので、水蒸気量が少なくなることも書かなければならなかったようだ。
要するに、「フェーン現象」の理屈なんだなぁ、これが。
北上大の答え「南西よりの風によって、四国山地から吹き降ろす形になるため。」(29字)
水蒸気量減少に関して触れていないので、5点満点のうちせいぜい2〜3点貰えたら御の字と言うところだろう。
模範解答は「四国山地の降水で水蒸気量が減少し,また上昇流が弱まるため。」(29字)


模範解答は以下の通り。
問 3
 (1)〔7 点〕
時間帯:23 日 3 時 〜 23 日 9 時
根拠:風向が東〜南東から南〜南西に変化し,気温が上昇するため。(28字)

 (2)〔6 点〕
鉛直流:上昇流から下降流に変化する。(14字)
相対湿度:急速に低下して乾燥する。(12字)

 (3)〔8 点〕
<1>低気圧の暖域
<2>高知付近では相当温位が一時的に低下する。(20)
<3>寒冷前線

 (4)〔5 点〕
四国山地の降水で水蒸気量が減少し,また上昇流が弱まるため。(29字)
(2013/06/26)

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