第37回気象予報士試験 実技2問4
第37回 気象予報士試験 実技2 問4
【解答】
茶色の文字は応援団長の私的解答
青字は気象業務支援センターの解答例
問4(1)
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地点 イ |
地点 ロ |
地表付近の気塊の持ち上げ凝結高度(LCL) |
925 940hPa
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990hPa |
上記を更に持ち上げた場合の自由対流高度(LFC) |
860hPa |
790 810 hPa
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850hPa〜500hPa間のショワルター安定指数(SSI) |
-9 -3 ℃
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0℃ |
問4(2)
@
湿数は小さく風向は高度と共に時計回りに変化。(22字)
風向は東〜南南東で、湿数は小さい。(17字)
A
松江
問4(3)
@
紀伊半島の南東側が明域ブロックで南西側が暗域。明域にレーダーエコーがある。(37字)
降水域Rに明域が、その西に暗域があり、両者の境界が明確である。(31字)
A
低気圧中心が336Kの相当温位極小域となり、周囲を反時計回りの循環風が吹いている。(41字)
相当温位342K以下の空気が低気圧性循環の一部である南西の風により流入している。(40字)
B
南〜南東の弱い風が吹き、南側の相当温位が北側よりも高い。(28字)
相当温位342K以上の空気が南東の風により流入している。(28字)
【感想など】
問4(1)
@ エマグラムの解析問題は得意中の得意だから、自信を持って書いたら全部大間違いだった。
舞い上がって目盛を読み違えたのか、線が曲がっていたのか分からないが、北上大のへっぽこ解答は無視して、模範解答の数値に合わせて、解説図を作成する。
地点イの図:
(図をクリックすると大きくなります)
地点ロの図
(図をクリックすると大きくなります)
SSIの作図法については、
SSIの作図手順に詳しく書いたのでそちらを見てください。
地点イのSSIは、模範解答に合わせて、-3℃にしたが、わたしの作図では-4℃の方が自然だと思う。
問4(2)
@ 地点ロは全層に渡って気温と露点温度が近いので湿数が小さいはすぐ分かる。
風向きについては、下層が東寄りで高度が上がるにしたがって時計回りに南よりに変化している。これは、暖気移流を示す温度風の特徴なので、時計回り変化のことは絶対に外せないと思ったのだが。
限られた文字数の中でどう表現すべきか悩んで書いた答えが、上に示したとおりで、「高度に伴う時計回り」を表現すると実際の方角を書く余裕がなくなった。ここで、「東〜南より」の実際の方角を書くか、「時計回りの変化」を書くかの選択になった。暖気移流の温度風につながる時計回りを残したのだが、それが間違いだった。
問題文を正確に読むと
・925hPa〜500hPaの風向き (⇒ 東〜南南東)
・湿数の特徴 (⇒ 全層に渡って湿数が小さい)
を書けと読める。これが正解のようだが、
・925hPa〜500hPaの風向きの特徴 (⇒高度につれて時計回りに変化)
・湿数の特徴 (⇒ 全層に渡って湿数が小さい)
と解釈すれば、北上大の解答が不正解だとは思えないのだが。
そんな愚痴を言っても仕方がないので、この場合は方角を書くのだ。
後で気がついたのだが、方角を書かせるのは、次のAへの重要なヒントになっているので、これが目的だったのだろう。この後の設問で、暖気移流が出て来るようなら、時計回りが求められる答えになるのだろう。
答えに迷ったときには、次の質問への関連にも目を向けると良いようだ。
「前問にヒントあり」だかからな。
A
松江か潮岬かを、図4から判断せよとの設問だが、このマノグラムには400hPaより上の情報は与えられていないので、図4の上(300hPa)は関係がない。
そうすると、850hPa での気温と湿数と風の情報で判断することになる。
マノグラムから読み取れる地点イとロの情報を整理すると次のようになる。
・地転イにおけるp850hPaの情報は、気温=18℃、湿数=1℃、風向=
南西、風速=10KT
・地転ロにおけるp850hPaの情報は、気温=18℃、湿数=3℃、風向=
東南東、風速=15KT
2地点を比較して、明らかに違うのは風向であるから、図4下で風向が南西の地点を選べばよい。
当然、松江を選択することになる。
問4(3)
@ この手の筆記問題は、ポイントが絞れないと何を書いたらよいのか見当がつかない。
困った。 とにかく、見て分かる情報を箇条書きにしてみると、
・明域と降水域Rのレーダーエコーが一致している
・明域と暗域の境界が明瞭である
・明域は、勾玉の格好をして集中している
・明域と暗域の境は、紀伊半島である
・明域は紀伊半島の東側にあり、暗域は西側にある
こんなところか。
この情報を元に「明域と暗域の分布の特徴を、降水域Rに関連付けて」説明するのだが、どう書いたらよいのか、分からない。
模範解答を見ると、ナルホドと思うことがあった。
わたしは、「紀伊半島」の地域ワードから抜けられなかったが、場所を特定する単語は
「分布の特徴」とは関係ないことに気づくべきだった。「紀伊半島」にこだわらなければ、正解に近い文章になったかもしれない。
Aこの問題も文章をキチンと読まずに、でたらめな解答をしてしまった。
重要なことは、設問の範囲が破線の枠全体ではなく、「室戸岬〜紀伊水道の南の海上」
(下図のグリーンの領域)に限定していることを、無視してしまった点だ。
低気圧性循環の一部であることは明瞭だし、風向は南西よりである。しかし、相当温位の分布の特徴として
「342K以下の空気が流入ししてる」とは、わたしは書けない。せいぜい、
「南の345Kより北側が徐々に低くなっている」辺りかなぁ。
「分布の特徴」と言いながら、「流入している」と動きを求めている。
この手の問題が出たらお手上げだぁ。
┐( ̄ヘ ̄)┌ フゥゥ〜
Bこれも上と同じで、範囲を読み誤ってしまったので、まるで的外れの解答になってしまった。
「降水域R付近の海上」というと、下図のグリーンの領域だ。
この問題でも、 「分布の特徴」と言いながら、「流入している」と解答に動きを求めている。
これには、チョット納得できないぞ。
おいおい、そんなことを書いていると、また落第だぞ!
(ノ_-;)ハア… ←青くなっているつもり
最終的に、問4の流れを振り返ってみると、衛星写真の明域で低層の暖気移流があり、暗域で高層の寒気移流が発生しており、低気圧成長の条件が整っているよ、と言いたかったのかな。
結局、問4(2)Aの
「松江」が正解だっただけで、他は全部ダメ。29点中の2点しか取れなかった。
(2013/05/28)
読者の声: