第35回気象予報士試験 一般問2


問2:
地球大気における飽和水蒸気圧の性質について述べた次の文(a) 〜(d) の下線部の正誤の組み合わせとして正しいものを,下記の(1)〜(5)の中から一つ選べ。
 (a) 温度が異なる二つの乾燥空気塊を定圧下で断熱的に混合させた場合,混合後の空気塊の飽和水蒸気圧は,混合前の二つの空気塊の飽和水蒸気圧の間の値となる
 (b) 空気塊の温度上昇に対する飽和水蒸気圧の増加割合は,温度が高いほど大きい
 (c) 空気塊の飽和水蒸気圧は,空気塊の温度だけでなく空気塊に含まれる乾燥空気の分圧にも依存する
 (d) 温度が0℃以下のとき,平らな氷面上の飽和水蒸気圧は,同じ温度の平らな水面上の飽和水蒸気圧より大きい

(a)   (b) (c) (d)
   (1)   正   正   誤   誤
   (2)   正   誤   正   正
   (3)   正   誤   誤   正
   (4)   誤   正   正   誤
   (5)   誤   誤   誤   正
(問題原文に色はついていません)

解説:
(a)は「正」
 飽和水蒸気密度あるいは飽和水蒸気圧は温度だけの関数である。だから二つの空気塊の混合後に二つの空気塊の間の温度になるのだから、飽和水蒸気圧も二つの間の値となる。なお、二つの間とは真ん中の中央値を意味するものではないので体積には関係しない。
  「一般気象学【第2版】」の58ページ参照
(b)は「正」
 北上大が間違った解説をしていたのに対して、読者のぴっちーさんからのアドバイスによって、オレンジ色の枠内を書いたものです。間違った原文は、オレンジ枠の下に残しているのでこ笑覧ください。
(2013/07/03)追記
恥ずかしながら、素人が分かったようなこと書いていたが、ぴっちーさんから、アドバイス(欄外、読者の声参照)をいただいて、下表の飽和水蒸気圧の数字でグラフを描いたところ、見事に「下に凸」のカーブになり、
「空気塊の温度上昇に対する」 「飽和水蒸気圧の増加割合」は、温度が高いほど大きいことが確認できたので、(b)は「正」であると思います。
問題作成者の先生方、変な因縁をつけて申し訳ありませんでした。
以下は、最初に書いた間違えた解説です。同じような勘違いをする方がいるかもしれないので、残しておきます。
=== ここから ===
 この問題には、納得がいかない。 (・ε・)ムー
 他の設問で、(a)は「正」、(c)は「誤」、(d)は「誤」なので、選択肢は(1)に限定されるし、センターの解答発表でも(1)になっているので、(b)の答えは「正」になるらしい。
しかし、下表に示すように、温度上昇とともに飽和水蒸気圧は大きくなるが、増加率は逆に減少するのだ。 
温度
 [℃]
飽和水蒸気圧
    [hPa]
増加率
  [%]
増加値
  
[hPa]
0 6.1

10 12.3 101% 6.2
20 23.4 90% 11.1
30 42.4 82% 19.0
40 73.7 74% 30.9
50 123.3 67% 50.0
  「一般気象学【第2版】」の59ページ参照
 増加率が減少しているのだから、この設問の答えは「誤」であると思う。
 しかし、問題文の「増加割合」という用語が、「増加した値」を示しているなら「正」なのだが。
 言葉足らずで、意味不明。 納得がいかない。
=== ここまで ===
(c)は「誤」
 (a)の項でも書いたように、飽和水蒸気圧は温度だけの関数である。また、容器中に水蒸気以外の気体があっても、それは水と水蒸気の平衡状態には何も関係しない。
  「一般気象学【第2版】」の58ページ参照
(d)は「誤」
過去にこんな図を書いたことがあるので参考にして欲しい。

正解は選択肢(1)である。

  (2013/05/08)

読者の声:
ぴっちーさん(2013/07/03)
第35回一般問2の(b)に関してです。問題文中に「温度上昇に対する飽和水蒸気圧の増加割合」とあるので、増加率を計算するときは、
(飽和水蒸気量の変化量)/(温度の変化量)
になるかと思います。グラフ上の傾きを求めるイメージです。この場合、温度が高いほど大きくなり、(b)は正になるかと思います。

北上大(2013/07/03)
ぴっちーさん、アドバイスありがとうございます。
早速、訂正記事を掲載しました。
恥を晒してしまいましたが、同じような勘違いをする人がいるかもしれないので、原文は残しておきます。
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送