第35回気象予報士試験 一般問3
問3:
空気中の水蒸気の凝結について述べた次の文章の空欄(a),(b) に入る最も適切な数値や語句の組み合わせを,下記の(1)〜(5)中から一つ選べ。なお,飽和水蒸気密度としては表の数値を用いよ。
シリンダーの中に,圧力1000hPa,体積0.001m
3,温度30℃,相対湿度60%の空気が入っている。体積を変えることなくこの空気を10℃に冷却すると,シリンダーの中では(a)mg の水が凝結する。凝結した水を取り除いた後,シリンダーを使って温度を変えることなく空気の体積を1.1 倍に増やして圧力を下げると,シリンダーの中では(b)。
温度(℃) |
0 |
10 |
20 |
30 |
飽和水蒸気密度(g/m3) |
4.8 |
9.4 |
17.3 |
30.4 |
|
(a) |
(b) |
(1) |
0.9 |
水が凝結する |
(2) |
0.9 |
水の凝結は起きない |
(3) |
8.8 |
水が凝結する |
(4) |
8.8 |
水の凝結は起きない |
(5) |
21.0 |
水が凝結する |
解説:
(a)は
「8.8」
(ア)最初に、シリンダーの中の水分量を計算する。
体積×30℃の飽和水蒸気密度×相対湿度
=0.001(m
3)×30.4(g/m
3)×60%×1000(mg/g)=18.24(mg)
(イ)次に10℃に冷却したときの飽和水蒸気量を計算する。
体積×10℃の飽和水蒸気密度×相対湿度
=0.001(m
3)×9.4(g/m
3)×100%×1000(mg/g)=9.4(mg)
(ウ) (ア)と(イ)の差が、凝結した水分量になる。
18.24(mg)-9.4(mg)=8.84(mg)
(b)は
「水の凝結は起きない」
飽和水蒸気密度は温度だけの関数である。
「一般気象学【第2版】」の58ページ参照
だから、減圧して圧力が変化しても飽和水蒸気密度は変化しないので、水の凝結は起きない。
正解は選択肢(4)。
(2013/05/08)
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