第35回気象予報士試験 一般問5


問5:
地表面におけるエネルギー収支について述べた次の文(a)〜(d) の正誤について,下記の(1)〜(5)中から正しいものを一つ選べ。
 (a)地表面のアルベドをA,地表面に入射する短波放射のエネルギーの強さをIとすると,地表面に吸収される短波放射エネルギーの強さはA×I と表される。
 (b)下向き長波放射のエネルギー量と上向き長波放射のエネルギー量を,1 年にわたって地球全体で平均した値で比較すると,下向き長波放射エネルギーの方が上向き長波放射エネルギーよりも大きい。
 (c)地表面から大気に輸送される顕熱と潜熱の量を,1 年にわたって地球全体で平均した値で比較すると,顕熱の方が潜熱よりも大きい。
 (d)未飽和の空気が水面と接しているとき,水面における顕熱輸送量の潜熱輸送量に対する比( ボーエン比) は,気温が高いほど大きくなる。

  (1)  (a)のみ正しい
  (2)  (b)のみ正しい
  (3)  (c)のみ正しい
  (4)  (d)のみ正しい
  (5)  すべて誤り


解説:
(a)は「誤」
 アルベドは反射率なので、吸収量を算出するためには(1-A)×I としなければならない。
  「一般気象学【第2版】」の114ページ参照

(b)は「誤」
 長波エネルギーとは、太陽からの短波エネルギーに対して、地球が発するエネルギーである。
 太陽からのエネルギーは、いつもプラスで地球に注いでいる。
 長波と短波を足し合わせるとゼロになる。 
 このバランスが崩れると、地球がどんどん暑くなるか寒くなってしまうのだ。
 降り注ぐ(下向き)短波がプラスなのだから、バランスをとるために上向き長波が大きくなければならない。
  「一般気象学【第2版】」の128ページ参照

(c)は「誤」
 顕熱よりも潜熱のほうが、3倍ほど大きいことは、基礎知識として知っているべき事項だ。
  「一般気象学【第2版】」の128ページ参照

(d)は「誤」
 気温が高くなると、飽和水蒸気圧が高くなり、潜熱の輸送量が増える。
 そのためボーエン比(顕熱/潜熱)は小さくなる。

正解は選択肢(5)

  (2013/05/08)

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