第39回気象予報士試験 一般問8


問8:
図は大気の運動による年平均の北向き熱輸送量の緯度分布を表したもので、点線は南北鉛直面内の循環による熱輸送量を、破線は低気圧・高気圧などの擾乱に伴う波動による熱輸送量を、実線はそれらの合計すなわち大気の運動による熱輸送量を示している。
この図から、南北鉛直面内の循環によって (a) 半球から (b) 半球に熱が運ばれていること、および擾乱に伴う波動による熱輸送は両半球の緯度 20°〜45°では大気を(c) するように働いていることを読み取ることができる。また、両半球の緯度 50°付近では南北鉛直面内の循環によって極から赤道向きにエネルギーが輸送されている。これは大気の運動の平均操作によって現れる (d)循環に対応している。
   


   (a)    (b)   (c)    (d)
     (1)    北    南   加熱  フェレル循環
     (2)    北    南   冷却  ブリューワドブソン循環
     (3)    北    南   冷却  フェレル循環
     (4)    南    北   加熱  フェレル循環
     (5)    南    北   加熱  ブリューワドブソン循環

解説:
(a)(b)に関しては、次の図で判断する。

青い部分が、南から北へ熱が移動した量で、ピンクの部分が北から南に移動した熱量である。
赤道上で負の値(ピンク)、つまり北半球から南半球への熱輸送があることを示している。

設問(c)については、次の図で見てみよう。

北半球についてみると、北緯20度で赤道側からこの領域に入ってくる熱量と、北緯45℃でこの領域から極側に出ていく熱量を比較すると明らかに出ていく方が多い。入る熱量よりも出る熱量が多いのだから、「冷却」を意味する。 方向は逆になるが、南半球でも同じことが言える。

設問(d)は、下の図に示すように、北緯(南緯)50度付近では極側から赤道側への熱輸送があることに関する問題である。

選択肢は「ブリューワドブソン循環」と「フェレル循環」の二つだ。
「ブリューワドブソン循環」とは、次の図で示すように、中層大気の大きな流れであるから、北緯(南緯)50度付近に限定した循環ではない。

一方、「フェレル循環」は、この緯度領域に関わっている。図はWikipedia より拝借した。
極側から赤道側への熱移動なら「極循環」の方が関わりが強そうだが、「極循環」の選択肢はないので「フェレル循環」になる。

正解は選択肢(2)「北、南、冷却、フェレル循環」だ。

この解答は、読者の声に掲載したhendevaneさん(2013/03/04)のアドバイスにより、全面的に書き換えました。hendevaneさんからは、ブログの拍手コメントでも同じ意見を頂いています。
どうもありがとうございました。
  (2013/06/12)

読者の声:
hendevaneさん(2013/03/04):
 (a)(b)については
● 解説図のピンク、ブルーの面積を比べるという説明には疑問があります。
● 面積は関係なく赤道での合計移送量の値が、約-18×104 W という、負の値になっていることで、赤道面で北から南に(つまり、北半球から南半球へ)熱が運ばれているということではありませんか。
 (c)については、北緯20度で北向きの熱量よりも北緯45度の滅量が大きい、つまり入ってくる熱よりも出て行く熱が多いのだから冷却だと判断できる。方向が逆になるが南でも同じこと。
 
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