第34回気象予報士試験 一般問9


問9:
成層圏について述べた次の文(a) ?(d) の下線部の正誤の組み合わせとして正しいものを,下記の(1)〜(5)の中から一つ選べ。

(a) 経度方向に平均した気温の緯度高度分布をみると,下部成層圏の高度10〜20km においては,一年を通して赤道上で気温が最低となっている。

(b) 上部成層圏では夏半球の極付近が最も気温が高く,極を中心に広く東風が吹いている。

(c) 北半球の成層圏では,数日間に温度が数十℃も上昇する現象が季節にかかわらず観測されている。

(d) 約2 年の周期で東風と西風が交互に入れ替わる現象は,高緯度地方の下部成層圏で明瞭である。


(a)   (b) (c) (d)
   (1)   正   正   誤   誤
   (2)   正   誤   正   正
   (3)   誤   正   正   正
   (4)   誤   誤   誤
   (5)   誤   誤   誤   正


解説:
(a)は「正」 低層の赤道付近の熱による上昇気流が強いために高緯度地方よりも対流圏界面が高くなり、気温が断熱減率で低下するため。

(b) は「正」 (実はわたしは「誤」が正解だと思っている)
  気象業務支援センターの模範解答では「正」になっているが、わたしは納得がいかない。
「一般気象学【第2版】」の253ページに次のような記載がある。
中層大気では高度約90km(成層圏は11〜50km)まで夏半球では全域東風、冬半球では全域西風というきわめて単純な分布をしている。 
この文章を読んだあとで、『極を中心に広く東風が吹いている』という表現の問題文が正しいと思うだろうか。
夏半球に限って言えば「正」なのだが、地球全体と捉えたら「誤」となるべきだ。


   「一般気象学【第2版】」の253-254ページ参照

(c)は「誤」 季節にかかわらず観測されている⇒1〜3月ごろ観測されることがある
下の図は、10hPa(高度30km)での突然昇温の気温変化図である。

   「一般気象学【第2版】」の261ページ参照

(d)は「誤」  高緯度地方の下部成層圏で⇒赤道域の下部成層圏で
  準二年周期振動と呼ばれている。
   「一般気象学【第2版】」の26ページ参照

(b)が「正」だと主張したが、そうする「正正誤誤」になるが、その選択肢はない。
「正■誤誤」なら(1)しかないのである。
ここで、夏半球だけのことかと理解して選択肢(1)を選ぶのが、大人の判断なのだろう。

そういうわけで、正解は選択肢(1)である。
  (2013/06/17)

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