第37回気象予報士試験 一般問5
問5:
雲の中の氷晶と雪片に関する次の文(a) 〜(d) の正誤について,下記の(1)〜(5)の中から正しいものを一つ選べ。
(a) 気温が0℃以下のとき,空気が氷晶に対しては過飽和で,過冷却水滴に対しては未飽和になることはない。
(b) 質量の異なる氷晶が過冷却雲粒を捕捉しながらそれぞれ自由落下するとき,単位時間当たりの質量の増加量は氷晶の質量が小さいほど大きい。
(c) 0℃以下の雪片同士が衝突したときに,両者が付着する確率は温度が低いほど大きい。
(d) 地上の気温が,降水が雨にも雪にもなりうる範囲内にあるとき,地上の降水は相対湿度が低いほど雪になりやすい。
(1) (a) のみ正しい
(2) (b) のみ正しい
(3) (c) のみ正しい
(4) (d) のみ正しい
(5) すべて誤り
解説:
(a)は
「誤」
「過冷却水滴に対しては未飽和になること
はない。」→「過冷却水滴に対しては未飽和になること
がある。」
「一般気象学【第2版】」の94ページ参照
水面に対する飽和水蒸気圧は氷面に対するものより高いので、氷面で過飽和・水面で未飽和の状態はありうる。
(b)は
「誤」
「氷晶の質量が
小さいほど大きい」→「氷晶の質量が
大きいほど大きい」
「氷粒子の質量が増加すると、その落下速度も大きくなるので、ますます多くの雲粒を捕捉する」
「一般気象学【第2版】」の97ページ参照
氷粒子ではなくて、凝集による雲粒の成長においては、過飽和度が一定であれば、半径の小さい水滴ほど単位時間に半径が増大する割合は大きい。これと混同しないように。
(c)は
「誤」
「付着する確率は温度が
低いほど大きい」→「付着する確率は温度が
高いほど大きい」
「雪片が付着しあう割合は、温度が高くなるにつれ、その割合は増大する」
「一般気象学【第2版】」の98ページ参照
(d)は
「正」
空気が乾燥しているときには、昇華蒸発による冷却が強いので、氷粒子は融解しにくくなる。ゆえに雪になる。
「一般気象学【第2版】」の98ページ参照
正解は選択肢(5)である。
(2013/03/28)
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