第37回気象予報士試験 一般問7


問7:
大気中に図(上) のような高さが1km,東西および南北方向の長さがともに10km で,四つの側面がそれぞれ東西南北を向いた水平な直方体の領域があり,その底面では図に示す上向きの一様な鉛直流がある。図(下) はこの直方体を上方から見た平面図で,各側面では図の( ) に示す東西成分,南北成分をもった一様な水平風が,矢印のように吹いている。
この領域の上面の鉛直流の向きと大きさ,および領域の内部における渦度の鉛直成分の大きさとして正しいものの組み合わせを,下記の(1)〜(5)から一つ選べ。
ただし,空気の密度および領域内の渦度は一定とする。


   鉛直流  渦度の鉛直成分
   (1)  上向き 1.7ms-1   3×10-4s-1
   (2)  上向き 1.7ms-1   7×10-4s-1
   (3)  上向き 2.1ms-1   5×10-4s-1
   (5)  下向き 1.7ms-1   3×10-4s-1
   (6)  下向き 2.1ms-1   7×10-4s-1



解説:
鉛直流の計算は、最初に水平方向の風の出入りを計算して、これを上下方向に割り振れば良い。
水平方向の風の成分それぞれの面で出入りを計算する。
直方体の領域に入る方向を(+)、出る方向を(-)とする。(水平方向の出入りの成分を青矢印で示した)
与えられた数値はm(メートル)だが、計算ではkm(キロメートル)に換算するので、2mは(2/1000)kmとなる。

西の面で10km(幅)×1km(高)×2/1000kms-1(速度)=20/1000km3s-1
南の面で10km(幅)×1km(高)×-2/1000kms-1(速度)=-20/1000km3s-1
北の面で10km(幅)×1km(高)×-2/1000kms-1(速度)=-20/1000km3s-1
東の面で10km(幅)×1km(高)×-1/1000kms-1(速度)=-10/1000km3s-1
これらの和、-30/1000km3s-1の風が水平方向から出て行ったことになる。
下方から流入する風の量10km(東西の長さ)×10km(南北の長さ)×2/1000kms-1(速度)からこれを引いた風の量が上方から出てゆく鉛直方向の上昇流になる。
すなわち、(200-30)/1000km3s-1を、断面積100km2で割ると、170/1000kms-1=1.7ms-1の上昇流となる。

渦度は、反時計回りを正として、東西の面と南北の面の風ベクトルの差を計算する。
渦度の成分を赤矢印で示した。
1とか2とか同じ数字が並ぶので、何を意味しているか分からなくなるので、下の図で色分けした。

渦度は、7×10-4s-1である。
正解は選択肢(2)である。
  (2013/07/01)

読者の声:
モンさん:(2013/06/30)
水平方向の風成分の出入りを計算していますが,たとえば・・・
西の2/1000kms-1の計算の中の「1000kms-1」は,速度ですけどどの部分の速度を指しているのですか?
北上大:(2013/07/01)
メートルとキロメートルの換算をきちんと説明していなかったことが分かり難い理由だともいますので、その旨を記載して改訂しました。
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