第38回気象予報士試験 一般問3


問3:
乾燥空気塊の温位について述べた次の文(a)〜(d) の正誤の組み合わせとして正しいものを,下記の(1)〜(5)の中から一つ選べ。

(a) 気圧を一定に保ちながら乾燥空気塊の温度を上昇させるときには,その温位は保存される。

(b) 温位が等しく気圧が異なる二つの乾燥空気塊がある。気圧が高い方の空気塊をもう一つの空気塊の気圧になるまで断熱的に膨張させた後,二つの空気塊の温位を比較すると,気圧が高かった空気塊の方が温位が低い。

(c) 乾燥空気塊の温位の値は,絶対温度で表したその空気塊の温度の値を下回ることがある。

(d) 気圧が等しい二つの乾燥空気塊の密度をρ1 ,ρ2 とし,それぞれの温位をθ1 ,θ2 とすると,
   θ1221 の関係が成り立つ。


 (a)  (b)  (c)  (d)
   (1)  正  正  誤  誤
   (2)  正  誤  正  誤
   (3)  正  誤  誤  正
   (4)  誤  正  正  誤
   (5)  誤  誤  正  正


解説:
(a)(b)(c)は、マノグラムに描画するとすぐに理解できるだろう。
 
乾燥断熱線は、水蒸気の蒸発や凝結がなければ、等温位線とみなすことが出来る。

(a)は「誤」 上図に緑色の文字で示した。
 「気圧を一定に保つ」とは、エマグラム上では水平移動に相当する。温度を上昇するには右に移動する。
 すると乾燥断熱線を何本も乗り越えるので、そのたびに温位が上昇していることが分かる。

(b)は「誤」、上図に青い文字で示した。
 「断熱的に膨張」とは、乾燥断熱線に沿って動かすことなので、温位は変化しない。 

(c)は「正」、上図に赤文字で示した。
 温位とは、断熱的に圧力を変化させたときに、1000hPaでの温度を指すことになっている。
 地上気温が1000hPa よりも高ければ、その気温は温位よりも高くなる。

(d)は「正」、これまでの設問で残っている選択枝は(5)しかないので、「正」であることが決まっている。

 (a)  (b)  (c)  (d)
   (1)        誤
   (2)    誤  正  誤
   (3)    誤    正
   (4)  誤    正  誤
   (5)  誤  誤  正  正
 気体の状態方程式を簡略化した形で、P=ρRTと書ける。
 空気塊1で、P11RT1、 空気塊2で、P22RT2とする。
 圧力が同じなので、両式を等値として
  ρ1RT12RT2 空気のRは同じなので消える。
整理すると、T1/T221 となる。
 絶対温度Tに関する式なので、1000hPaのTすなわちθについても成立する。

正解は、選択肢(5)である。
(2013/05/29)

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