第38回気象予報士試験 一般問10
問10:
台風と熱帯低気圧について述べた次の文(a)〜(d) の下線部の正誤の組み合わせとして正しいものを,下記の(1)〜(5)の中から一つ選べ。
(a) 対流圏上層を除く自由大気中では,風の接線方向の成分は動径方向の成分に比べて非常に大きく,風はほぼ円形の等圧線に沿って吹くので,
この風は旋衡風と見なしてよい。
(b) 台風の中心付近の気温は,海面から圏界面までの高度において周囲よりも高いので,静力学平衡の関係から,
同じ高度における中心付近と周囲の気圧差は,高度が高いほど小さくなる。
(c) 対流圏上層では,台風の中心から外向きに流れ出る風があり,中心から離れたところでは時計回りに回転しながら吹いている。
この回転の向きを決めているのはコリオリ力である。
(d) 熱帯低気圧の発生域は,海面水温が26℃以上の海域とほぼ一致している。
これは,熱帯低気圧の発生・発達には海水面からの顕熱の供給が必要なためである。
|
(a) |
(b) |
(c) |
(d) |
(1) |
正 |
正 |
誤 |
正 |
(2) |
正 |
正 |
誤 |
誤 |
(3) |
正 |
誤 |
正 |
誤 |
(4) |
誤 |
正 |
正 |
誤 |
(5) |
誤 |
誤 |
正 |
正 |
解説:
(a)は
「誤」。
旋衡風は、竜巻のようなメソスケールで、コリオリ力よりも遠心力がずっと大きい風をいう。
「一般気象学【第2版】」の145ページ参照
問題文の内容は、「
傾度風であると見てよい」
「一般気象学【第2版】」の239ページより
(b)は
「正」。
まわりの気圧と中心付近との差、いわば台風の中心に向かう水平気圧傾度は高度が低いほど大きい。
「一般気象学【第2版】」の237-238ページより
つまり、高度が高いほど小さいことになる。
(c)は
「正」。
(画像はWikipediaより)
「一般気象学【第2版】」の239ページ参照
(d)は
「誤」。
海水面からの
顕熱の供給⇒海水面からの
潜熱の供給
よく読まないと見過ごしてしまいそうだが、「顕熱」と「潜熱」では大きな違いである。
正解は
選択肢(4)である。
(2013/05/30)
読者の声: